Fumiya Tanaka

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組み合わせ、コンビネーションを考える

組み合わせ、コンビネーションを考える

Oct 21, 2016

現場でのDJ中はプレイしているバイナルの次にプレイするバイナルとの組み合わせ、コンビネーションを考えています。

家て選曲している時はそれをイメージしながら準備しますが、現場で起きることは必ず事前の準備を超えていきます。

現場ではどのバイナルの組み合わせがフロアに求められているか、全体の流れを俯瞰で意識しながら、自分の準備したアイデアと照らし合わせ、加減を測りながら丁度良いバイナルのコンビネーションをその場で選択します。

トップDJが流れるようなプレイが出来るのは、効果的な組み合わせを全体の構成に還元しながら、丁度良いテンションをフロアと共に共有出来ているからで、調子の良い時は選択されたバイナルが次のバイナルを自然に選択しているかのように、最初から最後まで線で繋がっていくような選曲が続いていきます。

このバイナルにはこのバイナルが相性が良いというのは必ずあって、Bというバイナルがプレイされる事で、今まで出来上がってきた流れに沿ったAが選択され組み合わさる、というのが実際の組み合わせの作業で、その選択がどれだけ自然に出来るかが肝になっていきます。

選択されなかったCやDやその他にあるバイナルはAの後の選択肢として残り続けますが、選択されなかったバイナルの組み合わせやコンビネーションはその後も考え続けることになり、その組み合わせとコンビネーションにどれだけ想像力を膨らませられるかが正しい選曲の精度をより上げていくと考えています。

ただ実際は組み合わせを細かく考えて組み立てているというよりは、今までの流れに沿って少し先の展開ぐらいまでをおおまかに想定しながら選択しているという対応で、おおまかなチョイスの中から候補になった2つないし3つを比べて最終的な選曲をしています。

どんなバイナルでも組み合わせようと思えば組み合わせてプレイは出来るとは思います。
ただ気をてらっただけの選曲をしてその時は良かったとしても、後で必ずその時の選曲の反動は来ます。
DJがめちゃくちゃな組み合わせでバイナルをプレイしないのはどの選択がある程度流れに沿っているのが正しい選曲なのかを理解してプレイしているからであり、それはそのDJのオリジナリティの一部分でもあるといえます。

どのようにバイナルを組み合わせるか、どういう順序でバイナルを選択していくか、ということがそのDJの個性となって現れるのは間違いないし、無秩序に組み合わせることが可能かと言えばそうではなく、ひとつひとつの組み合わせが積み重なって最終的にそのDJのオリジナリティとなって現れると考えています。

あるDJとお客さんにしか作れない雰囲気が確かにあり、フロアやお客さんが現場でどのように楽しむか、DJとどのように時間を過ごすか、ということを理解して共に時間を共有しているからこそ現場は正常に機能していくし、時にはとんでもない美しい時間や雰囲気をともに味わえることが出来ると思っています。

順番の小さな違いが結果に大きな影響を与える

順番の小さな違いが結果に大きな影響を与える

Sep 7, 2016

現場で選曲をするバイナルは事前に準備した80枚から150枚近くのバイナルの中から選曲をします。
その中には多種多様なキャラクターがあり、トラックはそれぞれのグルーブを持っています。

大きく分けるとリズムの展開をメインに曲を構成するトラック、メロディの展開をメインに曲を構成するトラックとに分けられると思いますが、その中にはベースドラムとハイハット、クラップだけのシンプルなものからその他の細かいエレメントが展開するアブストラクトなリズムのもの、スネアやパーカッションが展開するオーガニックなトラック、リズムがメロディの一部となってリズムとメロディがバランスの取れているトラックなど多種多様です。
メロディの展開でもシンプルなメジャーコードのものからマイナーコードだけのもの、複数のメロディが組み合わさったトラックや、メロディかメロディであるのか無いのかよく判別出来ないトラックと様々で、シンセベースが入ってくればベースラインによってグルーブは変わってくるし、サブベースが絡み合ってくれば更に多種多様になっていきます。
音色ひとつとってもアナログなものからデジタルなもの、ボイスサンプルやリズム系のサンプル、ピアノやオルガン、ギターなどのアコースティックなものから、生録音したストリングスパッドなど音色の違いだけでも多種多様になっていきます。

プレイの際にこのようなバイナルの中からどれが良いかを一枚ずつ選曲していくわけですが、例えばリズム主体のAというバイナルが選曲され、その後メロディ主体のBというバイナルを組み合わせた際にその後ベース主体のCを選曲する、というような選択がプレイ中に何度も繰り返されていくのが選曲順で、そのひとつひとつの選曲がプレイ内容全体の構成の出来を左右していきます。

例にあげたAの後にBが選ばれベース主体のCを選曲した場合、別の機会ではAは選曲されず、Aを最初から切り飛ばしてBが先に選ばれる、その後にCではなく別のリズム主体のパーカッシブなトラックDを選ぶという機会があるのが現場で起こることで、その都度選曲の順番を変化することが新たな選曲の組み合わせとして次の展開の順番に影響を及ぼしていきます。

実際はもっと複雑な要素が絡み合って選曲の順番を選択しているのですが、以前に選ばれたバイナルの選曲順や組み合わせに執着することなく、その都度それぞれの現場でしか出来ない順番と選曲にどれだけ向き合えるか、その時の自分のこだわりや先入観をどこまで捨てて順序や組み合わせの変化に柔軟になれるかが現場をより良いものにしていく為のスキルのひとつであり、順番の変化によって出来て来る内容の変化は結果に大きく影響を与えます。

結果的にはABCDと同じバイナルをプレイしています。
しかし同じバイナルを同じ順番で二つの違う現場でプレイすることは出来ても、通用した現場と同じ順番で同じバイナルをプレイしたそのままのプレイがもうひとつの別の現場では通用しないのが現場で起こることです。
不思議に感じる人もいますが、そこで出来ることをやればいいと思っています。

DJの選曲は本来お客さんがいることで出来上がる言ってしまえば共同作業のようなところがあります。
それぞれの現場によってバイナルの順番に工夫を凝らすことは、現場が違うからこそ味わえるそこでしかできない選曲と順番を作っていくいわば新しい経路のようなものを作っていく作業で、その経路はバイナルを選曲していく順番を判断する手がかりの拠り所でもあるし、それを頼りに同じバイナルを使ってそこでしか出来ないプレイを求めていくことがDJの持っている可能性だと思っています。    
もし同じ順番でプレイする機会に巡りあったとしても、最初から同じ順番では通じないと考え、別の順序を選ぶ事に積極的に取り組む姿勢が大切だと思います。
それは必ず自分の血となって肉となって経験値となってあとに活きてきます。

テンポを合わせる

テンポを合わせる

Jul 31, 2016

DJに必要な技術は沢山ありますが、基本的な技術のひとつにミックスの際にバイナルのテンポを合わせる、というのがあります。
DJを始めた頃はとにかくテンポを合わすのが楽しかった。
テンポが合わせられそうなバイナルは片っ端からミックスをしていたし、テンポだけを判断基準に次のバイナルを選択していた時期があるぐらい夢中になった時期がありました。

テンポを合わせてミックスをしている間は楽しくて仕方が無かったし、テンポが合うというだけでバイナルをミックスし、ミックスによっては思いもよらないバイナルの組み合わせになったり、テンポを合わせ損なったり、それぞれ単体で聴く事の出来る音楽をミックスすることで聞いたことのない音楽になることが面白くてミックスにのめり込んでいきました。

同じテンポで組み合わせられるかはもちろん、ハーフテンポで組み合わせられるか、3/4のテンポで組み合わせられるか、ウワモノや声モノ、SEとして組み合わせられるか、ミックスのタイミングを変え同じ曲を2枚同時に組み合わせられるか、いろんなジャンルの音楽をボーダーレスに聞く、それをミックスする事で音楽の構造やルールを自然に学んでいる実感があって、音楽的にも技術的にも成長している実感がありました。

バイナルのテンポはバイナルを購入する際の判断基準のひとつですが、テンポが合うかどうかを判断基準のメインにし、ジャンルを問わず片っ端からバイナルを購入していた時期もあり、今では音楽を聴く際に自然に意識します。

ひとつひとつのミックスによってプレイ時間の全体が作られていく、構成されていく為に必要なテンポを合わせることで、少しの組み合わせの違いが大きな違いを作り出すことが分かるようになってきたのはその後からでした。

当たりをつける

当たりをつける

Jun 30, 2016

プレイ中はバイナルケースの中にあるバイナルを1枚ずつ見て選曲するわけではありません。
それではどうやってプレイをしているか?

まずプレイの直前にそれぞれの現場で選曲出来そうなバイナルをある程度当たりをつける作業をします。
いわゆる現場での直前の準備です。

この時点で構想通りにやるのか、ある程度モデルチェンジするのか、予定していたアイデアをどうするのか、大体方針を固めます。
この時にいくつかの組み合わせや全体のおおまかな組み立ても同時にイメージします。

この当たりはおおまかに憶えておいてプレイを始めるのですが、プレイ中にバイナルをミックスし終わった後に次にかかるべきバイナルをその当たりの中からチョイスします。

そのチョイスがバイナルを見て決めるというより、構想を念頭に置きながら刻一刻と変化する状況を考慮し、次に必要とされる方針に1番近い最善の音やグルーブ、展開を仮定、結論付け、ぼんやりとでも持っているそのイメージに1番近いバイナルをチョイスする、というような作業を繰り返しています。

このイメージが途切れる事なく続き、迷う事なくこの作業が続く、当たりのバイナルの中から最善のバイナルをチョイスし続けられる時は大体調子が良い時です。

数にしておおよそ10枚から20枚。その中からプレイの組み立てやバイナルの組み合わせ、フロアの反応を瞬時に判断し、次にかかるべきバイナルを2.3枚に絞り込みます。

この時にほとんど頼りになるのは先のイメージと最後は直感で、1番最初に絞り込んだバイナルを選曲することは多いと思います。
その時に迷いなく選曲出来る時は冴えてる時ですから、そういう時は選曲しかけたバイナルを再び考え直し、別の最善のバイナルを選曲できる状況にも対応出来る余裕と深い集中力でプレイしています。

次のバイナルをプレイし、ミックスを始めるまでの時間は短くておおよそ3分、大体は5分から7分ぐらいの限られた時間の中でいかに正しい選曲を続けられるか、現場に行ってからああでもない、こうでもないという対応では間に合わないし、現場での柔軟な対応に必要になってくるのは経験と自分をコントロールできる知性、楽しもうとするオープンな心持ちが必要だと考えています。


DJを始めた頃はバイナルケースの中にあるバイナルを一枚ずつ見て選曲していました。
いわゆる片っぱしから手当たり次第プレイする、というようなスタイルです。
年月を経て経験をしていく中でそのスタイルでは段々通用しなくなっていきました。
年齢を重ね頭の回転の鈍りと記憶力の衰えによりそのスタイルでは出来なくなった、とも言えると思います。

全体を見て感じ構想していくプレイに興味が移っていった。

今思えばDJを始めた頃のプレイは勢いに任せたプレイで活動していました。
それで通用してましたから強引にありえない組み合わせを試したり、今では考えられない幅広いジャンルの音楽を一晩で選曲したり、自分の構想ややりたい気持ちを頼りにプレイを続けた時期が最初の10年ぐらいの活動だったと思います。

右も左も分からず向こうみずな勢いでやっていましたから、結果的にイノベーションは産まれた、無知が故無謀とも思われることに知らず知らずの内に挑戦できていた、というのは若さの特権とでも言えるでしょうか。

こういう若さ特有の跳躍的な発想を年齢を重ねて繰り出すのはなかなか難しい、若い時にしか出来ないDJがあるように、私のような年齢でしか出来ないDJや音楽があって、しかしそこに拘り過ぎることなく、イノセントな発想は常に持ち続けられるよう意識的にならないといけないと思っています。

おおまかにまとめる

おおまかにまとめる

Jun 13, 2016

DJを始めた頃からおそらく年月をかけて変わっていったとは思いますが、無雑作に入れていた事はおそらく一度もない私のバイナルケースの中は、私の場合自分のアイデアを軸にいくつかのバイナルを大きくグループ分けにして区分けしてまとめています。

どういうカテゴリーでグループ分けをするかは個性が出ると思いますが、私の場合はその時に用意するバイナルをおおまかに組み合わせ、いくつかの構想をおおまかに作り、それが3つぐらいのグループになっておおまかにまとめ分けられることが多いと思います。

どんなリズムやメロディーか、グルーブのキャラクター、音の強さ、キャラクターなどそれぞれのバイナルが持ってるポテンシャルの度合いを大まかに把握、総合判断しておき、構想の段階でおおまかに順序立てて組み合わせ、現場で直ぐに対応、把握しやすいようにまとめて分けておきます。

その他にはその都度現場に合わせて準備したバイナル、想定外に備えたバイナルもおおまかにいくつかまとめて準備をしておきます。
これは準備をやり過ぎるとキリが無く、かといって想定外を想定するのもある程度秩序だった事象や理論の上に想定外は導き出されますから、メインパートの準備を進める中でいくつかのあたりはつけておき、第3のグループとしてはっきりと意図を持っておおまかにまとめておきます。

これら全ての準備やまとめは、結局のところ現場での生の対応に必要不可欠なことで、実際の現場では準備した構想やアイデアを全てそのままうまく形に出来ることはそれほど多くはありません。
自分がイメージしたこととは違って進んでいったり、うまくいったり、迷ったりするのが生の現場であり、お客さんやフロアーその他たくさんの情報を、次のバイナルに繋げる数分の間で一挙に判断するのがDJの醍醐味だと思っています。
それで出来上がっていったものがその日限りの音楽で、それは自分の構想を成立させるだけで出来上がっていくものでは決してありません。
その為に出来るだけ現場でスピーディーな対応が出来るような準備は怠らない様にしておきます。
常に臨機応変な対応が求められるのが現場の醍醐味でもあるし、そこにやりがいやパッションを感じながらいつも取り組んでいきたいと思っています。