Fumiya Tanaka

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Beautiful Days

Beautiful Days

Oct 10, 2017

構想は2013年からぼんやりと温めていました。

ベルリンに移り住んでからの作品は2013年11月時点で手元に40曲ばかり、制作途中の曲を含めたら60曲近くありました。

実際にベルリン、ヨーロッパをベースに活動していた音楽活動、制作においては、生活全般が作品を作る上でのアイデアやプロセスに大きな変化を与えていたし、作品自体にも自分の音楽性をよりはっきりと形作っていった移り変わりを色濃く反映しているという感想は持っていました。

私が日本を離れてやりたかったことのひとつは作品を残すことであったし、活動の場を求めてベルリンに移り住んだ2010年以降の活動全般を知ってもらうには、その時間と共にあった作品をありのまま聴いてもらうことが自分らしいと考えていました。

決して活動をSNSや言葉で語りたくないということではないのですが、音楽を言葉で語るのは難しい、ただ語りたいという欲求もあります。

普段からDJとは?フロアーにレコードが選ばれるとはどういうことか?という禅問答のような問いと共に現場でDJをする活動があることもあり、実際にどの作品が現場で機能をするのか、音楽的にも意義のある作品を選別、検証することが必要だと考え、沢山の曲をストックすることが出来ていた状況もあり、2013年以降現場でのDJで自分の作品をプレイすることを強く意識するようにしました。

無理の無い自然なペースで進めたかったこともあり、2013年から2014年、2015年と段階的に、ヨーロッパ、南米、日本では自身のパーティーカオス、年末の神戸Troop Cafe、恵比寿Liquid Roomでは集中的に選別、検証を繰り返していたと思います。

グラフィックデザイナーのT氏にバイナルカバー、ラベルのデザインの依頼をしたのが2016年2月。
2015年11月頃には9割の選曲を済ませていましたから、自分のフィルターだけを通して作品を選別する面白みは再認識していました。
バイナルケースの色の組み合わせの方向性が決まったのは2016年12月。
バイナルラベルのデザインの方向性が決まったのは2017年の2月でした。

私のデザインのアイデアはいつも雑然とした説明で、それをいつも聞き入れ受け流し、アイデアの肉付けをしてくれるT氏との共同作業は、日の目を見ることの無いデザインが複数出来る作業でもあります。
その過程の中で作られたデザインのひとつが冒頭のデザインです。

ミスはするもの

ミスはするもの

Jun 16, 2017

DJプレイ中はいろんなミスをします。
中でも選曲ミスは特に多いように思います。
ミスをしてしまった時はやってしまったと思いますが、出来るだけミスをしたことは引きずらず、次の展開を考えるように気分を切り替えるよう努めます。
水を飲んだりヘッドフォンを外したり、時間は限られているのでゆっくりもしてられませんが、ひと呼吸入れて間を入れるのは助けになると思ってやっています。

それでも切り替えはなかなか簡単では無く、ミスをしたことでそこまでやってきた流れや構想は宙に浮き、これからどうしていくのか方針を決めないといけなくなっているので、迷いも生じ、更ならミスを誘発しやすくしてしまっています。

そういう時はやけくそになりたくもなりますが、大体は挽回可能な範囲の選曲ミスであることが多いので、落ち着いて対応することに努め、影響を最小限にとどめるようミス以降の展開に向き合い続けます。

ひとつあるのは、ミスをしたことで生まれた可能性にオープンに向き合うことで、構想になかった選曲やアプローチを見つけることが出来る、そういうオープンな気持ちでミス以降も開き直ってプレイすることは、結果的にミスが帳消しになってしまうようなプレイを生み出すことがあります。

人間ですから自分の構想に拘りたくなる思いは理解できます。
ミス以前の展開に執着したくなる思いは、うまくいっていたらいたほど拘りたくなると思います。
ですからミスを挽回してやろうとか、展開を複雑にしてミスを無かったことにしてやろという選曲をどうしてもしてしまいがちになってしまいます。
ミス以降面白くもなんともないプレイにしてしまうこともありますが、開き直って構想になかったプレイを実践してみることは、新しい構想を見つけるきっかけに役に立ったり、次の課題を見つけるきっかけになったりすることがあります。

若い頃はミスが分からず、ミスをしたそのあとの展開をどうにかしてやろうと強引な選曲をしてあとでグダグダ、勢いだけでどうにかこうにかやりきったなんてことは少なくなかったと思います。
傍若無人な選曲は時にイノベーションを生むことがありますが、それも長くは続かないのだなあということも長くやってきたことで分かったことです。

今は細かいミスが分かる。ですから無意識的にミスを嫌い無難な選曲をしてしまっていたり、ノーミスでいくことに拘り過ぎて無意識に面白くない内容にしてしまっていることがあります。
辛い内容でいかないといけないことも多々ありますが、今の感覚で出来る冒険的な選曲を実践することは意識して続けていきたいと思っています。

1年間のギグで満足いくプレイなどなかなか出来ません。

選曲ミスがなく満足のいくプレイもそうあることではありません。
かといって選曲ミスをしなかったからといって、満足出来たプレイが出来たかというとそうでもありません。
選曲ミスをしても結果的に満足のいく内容で終わることもあります。

選曲ミスはプレイの出来に大きく影響しますが、満足行くプレイとはミスだけが評価基準ではないと考えています。
雰囲気が変わってしまうほどのミスはお客さんに簡単に伝わりますが、DJはお客さんとの相互作用、相対的な評価も含むので、自己評価と相対評価をバランスよく保つことで、ミスをミスとして自然に受け入れられるテンションを保てるのではないでしょうか。

いかにミスをしないか、ミスをしてもミスをどのようにしてリカバーしていくか、ミスを活かしていかにまとめていくかはDJの醍醐味のひとつだと考えています。

保留する、タイミングを計る

保留する、タイミングを計る

Apr 12, 2017

今プレイしようと思ったバイナルをやめて、別のバイナルをプレイすることがあります。
直前での変更になるので、やめたバイナルはターンテーブルの横に置いたまま別のバイナルのミックスを始めます。
こういう時は大体深く集中してる時で、直前まで迷ってる時でもあります。

次にチョイスすることになるだろうなあと思ってたバイナルが、今プレイしたバイナルの展開と現場のムードの変化によってプレイ出来なくなる、今プレイしたバイナルよりも少しだけグルーブが弱かったり、リズムやメロディーが少しだけ違うものが次に合ってくることに気づく、ですからプレイ中はまだ選曲されていないバイナルのプレイ出来るタイミングを常に考えています。

選曲されていないバイナルは、つまりその先のプレイ内容、展開がどうなっていくかの鍵を握っているし、準備したバイナルが出来るだけうまく働くよう、1番効果的な選曲のタイミングを常に計っています。
置きっ放しになったバイナル、プレイ出来るタイミングを逃したなあと思ったバイナルが結果的にそのあとの展開次第でプレイ出来ることがあるのはその為です。
もちろんターンテブルに乗ることもなく直前で手の中からスルリと抜けていくバイナルもあります。
プレイするタイミングは待つというより伺うという感覚に近いので、パスしたバイナルも常に選択の対象内となります。

その判断の手掛かりは今プレイしたバイナルとそこまで一枚ずつ組み合わせて出来てきた選曲の厚みやグルーブ、アイデアの働きが今どの程度なのか、現在の状態をロジカルに判断しながらもうひとつの拠り所となるフロアーとお客さんの反応や雰囲気、次に何を求められているかを瞬時に判断して決めていきます。

それに使う力はほとんど直感ですが、それと同時に今まで選曲してきた流れをおおまかに振り返るダブルチェックもします。
バイナルケースに残されている未だ選曲されていないバイナルをおおまかに見直す作業は、直感プラス網羅する視点を使うことで、判断の精度を上げるためです。

それに使える時間は多くておよそ1分、2分も使えることは稀ですが、どのバイナルが次にマッチするのか、そのタイミングを決めてしまえば、それまでに考えていた他のバイナルの可能性は切り捨てます。
そのバイナルと共にミックスをし始めるタイミングを推し量りながらテンポを合わせる作業を始め、イコライザーのコントロールなども同時に行っていきますが、この時に突然次にあってくるバイナルが別のバイナルだと気づいたり、ひらめいたりすることがあるのです。
これについては未だに自分でも何が起こったのかを説明するのが難しいのですが、大体それは好判断で、逃してしまいがちの保留するタイミングや変化するタイミングを見つけていることが多いです。

気をつけておかなければならないのは、他のバイナルのタイミングを考え過ぎて、プレイしてきた流れから逸脱してしまわないよう意識的になっておく必要はあると思います。
色々な可能性に気づく事で色々な展開をイメージ出来る、その事で色々冒険しようと思ったり、チャレンジしようと思う事は大切な事だと考えています。
しかし冒険し過ぎて本筋から逸れてしまったり、色々な可能性に気づく事で迷いが出てきてチャレンジすることをメインにしてしまう、結果家的に何がやりたかったのかうまく表現できてなく、やってきたことがボケてしまって実力を発揮出来ずに終わることがあったりします。
あくまでも本筋から逸れてしまわないように、目の前の状況や自分のアイデアに集中することが基本です。
パスしたバイナルに執着し過ぎるのもよくありません。
常にフラットな状態でタイミングを計り続けます。
とはいっても私はどちらかというと冒険するのが好きなタイプで、冒険し過ぎて失敗することも少なくありません。
最近は手堅く行くことが多いですが、かといって手堅く行き過ぎてしまって冒険するタイミングを逃すこともあります。
いつやってもその加減は難しく、時には大胆に、両方をバランスよく使い分けられるように心がけています。


組み合わせ、コンビネーションを考える

組み合わせ、コンビネーションを考える

Oct 21, 2016

現場でのDJ中はプレイしているバイナルの次にプレイするバイナルとの組み合わせ、コンビネーションを考えています。

家て選曲している時はそれをイメージしながら準備しますが、現場で起きることは必ず事前の準備を超えていきます。

現場ではどのバイナルの組み合わせがフロアに求められているか、全体の流れを俯瞰で意識しながら、自分の準備したアイデアと照らし合わせ、加減を測りながら丁度良いバイナルのコンビネーションをその場で選択します。

トップDJが流れるようなプレイが出来るのは、効果的な組み合わせを全体の構成に還元しながら、丁度良いテンションをフロアと共に共有出来ているからで、調子の良い時は選択されたバイナルが次のバイナルを自然に選択しているかのように、最初から最後まで線で繋がっていくような選曲が続いていきます。

このバイナルにはこのバイナルが相性が良いというのは必ずあって、Bというバイナルがプレイされる事で、今まで出来上がってきた流れに沿ったAが選択され組み合わさる、というのが実際の組み合わせの作業で、その選択がどれだけ自然に出来るかが肝になっていきます。

選択されなかったCやDやその他にあるバイナルはAの後の選択肢として残り続けますが、選択されなかったバイナルの組み合わせやコンビネーションはその後も考え続けることになり、その組み合わせとコンビネーションにどれだけ想像力を膨らませられるかが正しい選曲の精度をより上げていくと考えています。

ただ実際は組み合わせを細かく考えて組み立てているというよりは、今までの流れに沿って少し先の展開ぐらいまでをおおまかに想定しながら選択しているという対応で、おおまかなチョイスの中から候補になった2つないし3つを比べて最終的な選曲をしています。

どんなバイナルでも組み合わせようと思えば組み合わせてプレイは出来るとは思います。
ただ気をてらっただけの選曲をしてその時は良かったとしても、後で必ずその時の選曲の反動は来ます。
DJがめちゃくちゃな組み合わせでバイナルをプレイしないのはどの選択がある程度流れに沿っているのが正しい選曲なのかを理解してプレイしているからであり、それはそのDJのオリジナリティの一部分でもあるといえます。

どのようにバイナルを組み合わせるか、どういう順序でバイナルを選択していくか、ということがそのDJの個性となって現れるのは間違いないし、無秩序に組み合わせることが可能かと言えばそうではなく、ひとつひとつの組み合わせが積み重なって最終的にそのDJのオリジナリティとなって現れると考えています。

あるDJとお客さんにしか作れない雰囲気が確かにあり、フロアやお客さんが現場でどのように楽しむか、DJとどのように時間を過ごすか、ということを理解して共に時間を共有しているからこそ現場は正常に機能していくし、時にはとんでもない美しい時間や雰囲気をともに味わえることが出来ると思っています。

順番の小さな違いが結果に大きな影響を与える

順番の小さな違いが結果に大きな影響を与える

Sep 7, 2016

現場で選曲をするバイナルは事前に準備した80枚から150枚近くのバイナルの中から選曲をします。
その中には多種多様なキャラクターがあり、トラックはそれぞれのグルーブを持っています。

大きく分けるとリズムの展開をメインに曲を構成するトラック、メロディの展開をメインに曲を構成するトラックとに分けられると思いますが、その中にはベースドラムとハイハット、クラップだけのシンプルなものからその他の細かいエレメントが展開するアブストラクトなリズムのもの、スネアやパーカッションが展開するオーガニックなトラック、リズムがメロディの一部となってリズムとメロディがバランスの取れているトラックなど多種多様です。
メロディの展開でもシンプルなメジャーコードのものからマイナーコードだけのもの、複数のメロディが組み合わさったトラックや、メロディかメロディであるのか無いのかよく判別出来ないトラックと様々で、シンセベースが入ってくればベースラインによってグルーブは変わってくるし、サブベースが絡み合ってくれば更に多種多様になっていきます。
音色ひとつとってもアナログなものからデジタルなもの、ボイスサンプルやリズム系のサンプル、ピアノやオルガン、ギターなどのアコースティックなものから、生録音したストリングスパッドなど音色の違いだけでも多種多様になっていきます。

プレイの際にこのようなバイナルの中からどれが良いかを一枚ずつ選曲していくわけですが、例えばリズム主体のAというバイナルが選曲され、その後メロディ主体のBというバイナルを組み合わせた際にその後ベース主体のCを選曲する、というような選択がプレイ中に何度も繰り返されていくのが選曲順で、そのひとつひとつの選曲がプレイ内容全体の構成の出来を左右していきます。

例にあげたAの後にBが選ばれベース主体のCを選曲した場合、別の機会ではAは選曲されず、Aを最初から切り飛ばしてBが先に選ばれる、その後にCではなく別のリズム主体のパーカッシブなトラックDを選ぶという機会があるのが現場で起こることで、その都度選曲の順番を変化することが新たな選曲の組み合わせとして次の展開の順番に影響を及ぼしていきます。

実際はもっと複雑な要素が絡み合って選曲の順番を選択しているのですが、以前に選ばれたバイナルの選曲順や組み合わせに執着することなく、その都度それぞれの現場でしか出来ない順番と選曲にどれだけ向き合えるか、その時の自分のこだわりや先入観をどこまで捨てて順序や組み合わせの変化に柔軟になれるかが現場をより良いものにしていく為のスキルのひとつであり、順番の変化によって出来て来る内容の変化は結果に大きく影響を与えます。

結果的にはABCDと同じバイナルをプレイしています。
しかし同じバイナルを同じ順番で二つの違う現場でプレイすることは出来ても、通用した現場と同じ順番で同じバイナルをプレイしたそのままのプレイがもうひとつの別の現場では通用しないのが現場で起こることです。
不思議に感じる人もいますが、そこで出来ることをやればいいと思っています。

DJの選曲は本来お客さんがいることで出来上がる言ってしまえば共同作業のようなところがあります。
それぞれの現場によってバイナルの順番に工夫を凝らすことは、現場が違うからこそ味わえるそこでしかできない選曲と順番を作っていくいわば新しい経路のようなものを作っていく作業で、その経路はバイナルを選曲していく順番を判断する手がかりの拠り所でもあるし、それを頼りに同じバイナルを使ってそこでしか出来ないプレイを求めていくことがDJの持っている可能性だと思っています。    
もし同じ順番でプレイする機会に巡りあったとしても、最初から同じ順番では通じないと考え、別の順序を選ぶ事に積極的に取り組む姿勢が大切だと思います。
それは必ず自分の血となって肉となって経験値となってあとに活きてきます。